・・・こういうインテリゲンツィアの堕落の最も著しい典型は政治的な面で佐野、鍋山、三田村等の侵略戦争協力の理論としてあらわれた。文学では、文学の階級性を否定しようとする幅のひろい既成作家と旧プロレタリア作家の動きとしてあらわれたのであった。 こ・・・ 宮本百合子 「誰のために」
・・・一九三三年の初夏、佐野学・三田村・鍋山等の共産主義者としての理論の抛棄と日本の侵略戦争を肯定する画期的な裏切りは、勤労階級の解放運動に未曾有の頓挫を来したばかりでなく、文学をも混乱におとしいれた。プロレタリア文学の領域には、前後して社会主義・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
ブル新が支配階級の道具であって、彼らの利益を守るように記事に事実でないことを書くことは、今度の共産党エロ班などということに実によく現れていると思います。 同じ一つの新聞が、三田土ゴムの女工さんであった児玉しづ子をはじめ・・・ 宮本百合子 「婦人党員の目ざましい活動」
・・・が『三田文学』に連載されやがて一般の興味をひきつけた時代には、そのエロティシズムも、少女から脱けようとしている特異な江波の生命の溢れた姿態の合間合間が間崎をとらえる心理として描かれており、皮膚にじっとりとしたものを漲らせつつも作者の意識は作・・・ 宮本百合子 「文学と地方性」
・・・スバルや三田文学がそろそろ退治られそうな模様である。しかしそれはこの新聞には限らない。生存競争が生物学上の自然の現象なら、これも自然の現象であろう。 八、創作家としての伎倆 少し読んだばかりである。しかし立派な伎倆だと認・・・ 森鴎外 「夏目漱石論」
・・・君と私との忙しい生活は、互に訪問することを許さぬので、私は時々巣鴨三田線の電車の中で、君と語を交えるに過ぎなかった。 それから四五年の後に私は突然F君の訃音に接した。咽頭の癌腫のために急に亡くなったと云うことである。・・・ 森鴎外 「二人の友」
出典:青空文庫