・・・『文化集団』では又、上述の二つの論文との対比によって、われわれに教えるところのある小松清氏の「ソ作家大会と新個人主義」という論文が発表されている。小松氏は第一回全ソ作家大会の重要性の一つは、かつて「ラップ」によって「ブルジョア自由主義も・・・ 宮本百合子 「新年号の『文学評論』その他」
・・・今日、大多数の若い人々が、男女にかかわらずそれぞれの恋愛について、私的なことであるが又公的なことでもあるとする一つの公開的態度をもって対する根本には、上述のように、恋愛の含む広い複雑な社会性の意識がいつとなく作用しているからである。 若・・・ 宮本百合子 「成長意慾としての恋愛」
・・・文章をかくツルゲーネフが、上述のような生活環境にあって、作中に女の人物を書く場合特殊な情緒の集注をもって描いたのは自然なことである。 ヴィアルドオ夫人とのこの独特な結合は、ツルゲーネフを一種の恋愛偏重論者にしたかのように見える。彼は、男・・・ 宮本百合子 「ツルゲーネフの生きかた」
・・・ 同志小林多喜二が創作の実践にあたって非常に理論を尊重したことは上述のとおりであるが、彼は、決して「理窟のいえない小説家」ではなかった。従来執筆された文学に関する感想、論文などは、レーニン的理論の展開に際し確固性において十分でなかったと・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
・・・は、その一つ前に書いた「若し冬が来るなら」と云う題の作品で俄に知られるようになりました。日本でも多くの部数を売ったそうですが一九二二年に発行された「この自由」は、上述の女性と職業の問題を骨子としたものです。 純文学的の立場からではなくそ・・・ 宮本百合子 「「母の膝の上に」(紹介並短評)」
・・・それは、上述のような部分において行われたマルクス、或はエンゲルスの見解の引用を根拠としてバルザックを推した人々が、当時の混乱していたプロレタリア文学運動に対しては一貫して文学における階級性の抹殺を提唱しかつ行動していた人々であったという事実・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・今委しくここに触れることは私の力にも及ばないことであるが、運動全体が非常に急速に高まり、非常に急速に退いたことは、上述の集団生活が人間性をより強固なものに陶冶する為に必要な条件と時間とを与えなかったように見える。強い中心的な磁力が失われたら・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムへの道」
・・・ ところが、二葉亭四迷の芸術によって示された文学の方向、影響は、上述の日本の事情によってそのままには発展させられず、硯友社尾崎紅葉等の作風に遮断されている。 紅葉が活動した時代、日本には既に憲法があり、国会が開かれており、官員さんの・・・ 宮本百合子 「文学における今日の日本的なるもの」
・・・ わたしが立候補できない一つは上述のような健康上の理由です。議員その他の必要条件の一つは、健康であるということは党員議員の一致した意見です。 党は多くの人材を加え、婦人の間にも代議士その他として有能な活動家を出しているとき、実際・・・ 宮本百合子 「文学について」
・・・この間この組織が実質に於てより大規模な上述の諸組織に発展的解消をするに当って、最後の賞を尾崎一雄氏、川端康成氏に与えた。この賞に当っても、嘗て会員によって推薦された作品が、所謂左翼的立場に立つ作家によって書かれているものであるという理由で、・・・ 宮本百合子 「矛盾の一形態としての諸文化組織」
出典:青空文庫