・・・その事あるを今日から思いまたもう遠い遠い過ぎた日からその事あるを思って、私の体はよし消滅しても私の思想ばかりは不朽に生をうけ得る様に日々務めて、尊い不朽の生を得る事の出来るだけの思想を築こうとして居るのである。 私の年頃、十代で若しくは・・・ 宮本百合子 「悲しめる心」
・・・をもその主題の故に不朽であると共に同時代人から受けた巨大な非難の故に有名な作品として残しているというのは、意味深い事実である。 今から見ると、ヴィアルドオ夫人の力は、ツルゲーネフにいくたの作品を書かしめた力であったと同時に、多くの作品の・・・ 宮本百合子 「ツルゲーネフの生きかた」
・・・そういう関係におかれてこの伝記は不朽の価値をもつのである。〔一九四一年五月〕 宮本百合子 「『トルストーイ伝』」
・・・等の内面的旋律までを考えて日本古来の詩形を不朽な規範と考える態度に対して筆者の行っている理論的究明も、今日の現実の錯綜の中にあっては、結局萩原氏の詩論の心的・社会的因子にまでふれないと、読者にはぴったりと来ない。「新日本文化の会」のメムバー・・・ 宮本百合子 「ペンクラブのパリ大会」
・・・ 自分の心臓からとばしり出る血を絵の具にして尊い芸術を――不朽の芸術を完成して最後の一筆を加え終ると同時死んだ画家の気持をどの芸術家にでも持ってもらいたいと思う。 その画家が若かったか老いて居たかは私は知らないけれ共だれでもが生と死・・・ 宮本百合子 「無題(二)」
・・・一九一四―一九一九年大戦に於て彼らの皇帝並帝国に奉仕せる将校、下士およびロンドン市民の不朽なる名誉の為に、記念碑が立てられている。今日は休戦記念日じゃない。事務的なロンドン人は邪魔っけそうにその銀行前に突立つ記念碑をよけて急ぎ歩いた。枯れた・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
出典:青空文庫