・・・だけでは、何か足りないような気がして、こんどは一つ方向をかえ、私がこれまで東京に於いて発表して来た作品を主軸にして、私という津軽の土百姓の血統の男が、どんな都会生活をして来たかを書きしたため、また「東京八景」以後の大戦の生活をも補足し、そう・・・ 太宰治 「十五年間」
・・・バイブルを主軸として回転している数万の星ではなかったのか。 しかし、それは私の所謂あまい感じ方で、君たちは、それに気づいていながらも、君たちの自己破産をおそれて、それに目をつぶっているのかも知れない。学者の本質。それは、私にも幽かにわか・・・ 太宰治 「如是我聞」
・・・ この決定に因んで、日本ペン倶楽部は日本独自の立場を持つものであるが、同時に、「文学と文学者達との間に決議された事項は文学を主軸として解釈さるべきであって、それに不必要にして余計な拡張解釈を加えることは誤りに陥り易い」こと、民間性が重ん・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・歴史の前進の主軸が、現世紀においては勤労階級であり、したがって、きょうの努力は来るべきプロレタリア文化・文学への展開であることを不自然とすることもいらないのである。新しい民主主義の理解は、文化と文学におけるいらざるセクショナリズムからわたし・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
・・・ 文学の仕事と文学を職業とするということの間に矛盾があってはならないわけであるけれども、いつしか文学を職業とする方へ主軸が傾きがちで、職業的労作の単純化、統一化、能率化のためには、真の文学精神が回避出来ない筈の両性の波瀾をも、わが家の中・・・ 宮本百合子 「職業のふしぎ」
・・・したがって母となっている孤独な妻たちの困難が主軸となって、一つの社会問題となるのである。今日の日本では、未亡人の問題がいわれるとき、すべての人の表情に困惑の色が深められる。なぜならこの深刻な課題は、解決がたやすくないどころか、国家の責任で解・・・ 宮本百合子 「世界の寡婦」
・・・が説明によって理解したところでは、民主革命の推進力である労働者階級を主軸としてその同盟者としての農民、勤め人、中小商工業者、近ごろはアルバイトの必要から勤労生活にとけこみつつある学生、これらを概括して「勤労者文学」の基盤とするといわれたよう・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・ 封建のしきたりと無権利とに苦しんでいた勤労大衆、中産階級、知識人、婦人などの生活は実にこの勤労階級を主軸として進展する日本の新民主主義の完成がなければ、幸福は決して約束されない。婦人の解放などは実現しない。 婦人民主クラブは、日本・・・ 宮本百合子 「三つの民主主義」
出典:青空文庫