・・・交通事故の防止のために市が子供らに払っている注意、子供ら自身の身につけている訓練。それらの点は何故撮されなかったのであろう。また、太陽燈浴室が現れるにつれて、児童の弁当の問題、学校で肝油配給をやり、また栄養給食について考慮している、そういう・・・ 宮本百合子 「映画の語る現実」
・・・ 先年或る実業家の夫人が子供をのせた車を自分が操ってある避暑地から東京へのかえりがけ、誤って崖から墜落した事故があった。そのとき新聞は、夫人が操縦していたということにいくらか刺戟的なものをふくんだ見出しをつけて書いた。あぶない真似をしな・・・ 宮本百合子 「この初冬」
ふだん近くにいない人々にとって、岡本かの子さんの訃報はまことに突然であった。その朝新聞をひろげたら、かの子さんの見紛うことのない写真が目に入り、私はその刹那何かの事故で怪我でもされたかと感じた。そしたら、それは訃報であって・・・ 宮本百合子 「作品の血脈」
・・・無電があったら、兄は決して事故を起すような人ではなかったんですのに」と記者に語ったのであった。「日航」が、真に、科学的にこの悲しい事故の責任をとるならば、この悲痛、切実なきくえさんの問に対して、全国民に答えるべきではなかったろうか。エンボイ・・・ 宮本百合子 「市民の生活と科学」
・・・ 交通事故の際 北千住の電車衝突では主に女子供が負傷した。この事故は今日私たちの住む世相人心の或る面を露骨に示した点で特別な意味がある。日本人が誇りとして世界に知られているのは子供を大切にすること、弱い者を助け・・・ 宮本百合子 「女性週評」
・・・これらの孤独になった妻たちは、一人として個人の身勝手からおこった事故で未亡人になった婦人たちではない。戦争による未亡人である。 更に、もう一歩こまやかに進み出て私たち女性の生活をながめ入ったとき、そこに発見される現代史特有の悲痛な事実が・・・ 宮本百合子 「世界の寡婦」
・・・ 久し振りに参った事故わしは御事に知って居る丈の話をきかすのをお事が見えたと申す事をきいた時から楽しみに致して居ったのじゃ。法 欠伸の出ぬまでは……王 まー、お聞きやれ。 ある所にその名はわからなんだがうす赤い胸毛とみど・・・ 宮本百合子 「胚胎(二幕四場)」
・・・アメリカの一年間の交通事故で死ぬ人よりも少い損傷ですんだ。イギリスは自治領を加えて四五万人。国土が安全であったアメリカは、軍人でない生命の犠牲は数においてみなかった。ナチの虐殺にあったソヴェト、日本の虐殺をうけた中国、ドイツ、日本などは、そ・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・週末の自動車事故何件。死傷何人。先週より何%増。「娯楽ドライヴは果して窃盗罪を構成せざるや」 ロンドンで自動車運転許可は郵便局へ五シリング払い込めば貰える。だが運転すべき自動車そのものはハロッズで売っている玩具でも五シリングよりは高・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
出典:青空文庫