・・・“The Four Horseman of Apocalypse.”を書いて俄に注目の焦点と成った西班牙のブラスコ・イバンツを始め、松村みね子氏によって翻訳された「人馬の花嫁」の作者、ロード・ダンサニー其他、H. G. Wells, Joh・・・ 宮本百合子 「最近悦ばれているものから」
・・・ろくでもないげんこを作ってトントンと卓子の上を叩く、そのいやに人馬鹿にした様な響までが気にさわる、何かうたでもうたって見せろと、一声出すとろくに口が廻らない気がさしてフッとやめてしまう。ほっぺたを押えて見たり、かみ合わせて見たり、ああしこう・・・ 宮本百合子 「つぼみ」
・・・幾度くり返してもくり返しても同じなんで「人馬鹿にしてる」こんな事を浅草提灯に云ってムックリと起上った。机の前に座ったがどうも気が落つかない。こないだ注文してやった筆立の形も思う通りに出来るかと思って不安心だし、下絵の出来て居る絵の色の工夫も・・・ 宮本百合子 「芽生」
・・・そうして、人馬の悲鳴が高く一声発せられると、河原の上では、圧し重なった人と馬と板片との塊りが、沈黙したまま動かなかった。が、眼の大きな蠅は、今や完全に休まったその羽根に力を籠めて、ただひとり、悠々と青空の中を飛んでいった。・・・ 横光利一 「蠅」
出典:青空文庫