・・・進歩的な精神をもち、行動も消極ではないある評論家を二人で訪問した。今回の情報局のやりかたは正しくないという意見の、雑誌編集者もいあわせた。いろいろの事情を綜合し、文学者たちの気分を研究し、つまり、意味ある反応は期待しがたいという結論になった・・・ 宮本百合子 「ある回想から」
・・・ 今回選ばれた婦人代議士たちの質がどうであろうと、明日において更に成長しようとする私たちは、これらの事情を、日本民主化の過程にあらわれた一教訓として見る。そして学び得る最大のものを、今回の一票から学びとろうとしているのである。〔一九四六・・・ 宮本百合子 「一票の教訓」
・・・ それらと闘いぬいて出て来ると、敵は何とかケチをつけるため、父親が一札を入れたおかげで出されたのだとか、あやまったからだとか「今回の検挙によって思想上に一転機を来した」から釈放されたとか、ブル新聞に書き立てさせる。文化活動者として私をわれわ・・・ 宮本百合子 「逆襲をもって私は戦います」
・・・幼ごころのそもそもから、軍事的であり侵略を勝利として扱ったものの考えかたで養われてきた正直な幾千万日本人が、今回の第二次大戦で支配者に万事をあやまられしかもなおそれを十分自覚していないようなのも、さけ難いことであった。『くにのあゆみ』が・・・ 宮本百合子 「『くにのあゆみ』について」
・・・ もう何年も、私たちは生きてゆくそのことを、自分たちの努力と分別とでやって来た。政府の力には、見当がついている。 今回の総選挙が、私たち全人民にとって深い関心事である所以はここにある。選挙前にこの草案が公表されたことは、或る意味があ・・・ 宮本百合子 「現実の必要」
・・・あの記述によって大統領選挙予測で、その調査所の権威を失墜させたのは今回のギャラップ博士の米国世論調査所その他の例ばかりでなかったことがわかった。一九三六年ルーズヴェルトとランドン両候補の間に大統領選挙がたたかわれたとき、当時アメリカにおいて・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・一九二八―九年の経済年度から今回の五ヵ年計画が着手された時、資本主義国の「通」は先ず云った。「何だ! 別に珍しいことじゃないよ。ソヴェトではこれまでだって五ヵ年計画でやって来たんだ。」それから、続けて云った。「ところで、この五ヵ年計画なるも・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・小説も、今回分は僅かでも大体の通ったプランを立てなければならず、そのために時間を多く費しましたが、やっとそれが終り、書きはじめました。「乳房」のときより進んだ心の状態にあります。大変すなおに、描く対象を浮彫りにしてゆけそうな心持です。或自然・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・しかし今回のように全日本的規模において学問の自主性のために休業が行われたことはなかった。この現象はこんにちの社会生活のあらゆる面で、さほど進歩的でない学生にさえも、民主的な民族自主の必要がどのように切実に実感されているかという事実を語ってい・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・『文芸』の今回の選には満場一致のような作品がなくて、そのためかえって話題にのぼった各作品が計らず縦横から相当突こんで語られ、それにつれておのずから今日の文学の諸相も示されている。その点が一般の読者にとっても興味深かった。 未完成な作品と・・・ 宮本百合子 「今日の文学の諸相」
出典:青空文庫