・・・ しかるに、観聞志と云える書には、――斎川以西有羊腸、維石厳々、嚼足、毀蹄、一高坂也、是以馬憂これをもってうまかいたいをうれう、人痛嶮艱、王勃所謂、関山難踰者、方是乎可信依、土人称破鐙坂、破鐙坂東有一堂、中置二女影、身着戎衣服、頭戴烏帽・・・ 泉鏡花 「一景話題」
・・・何峠から以西、何川辺までの、何町、何村、字何の何という処々の家の、種々の雑談に一つ新しい興味ある問題が加わった。愈々大津の息子はお梅さんを貰いに帰ったのだろう、甘く行けば後の高山の文さんと長谷川の息子が失望するだろう、何に田舎でこそお梅さん・・・ 国木田独歩 「富岡先生」
・・・そしてこれらの雑誌がともかく刊行されているのは主として東京以西あるいは近隣の地方都市においてであって、東北、北海道地方からこういう種類の雑誌は発行されないらしい。この事実を、東北地方の窮乏を現実の背景として見て、私は一般読者の関心をよびおこ・・・ 宮本百合子 「新年号の『文学評論』その他」
出典:青空文庫