・・・○こういうように毎日集まって話をして居る内には自ら俳友仲間の評判なども常に出るので、それがために前々号に挙げた『俳諧評判記』のような者も出来た次第である。ただあの文章はいくらか書き様に善くない処があって徒らに人を罵詈したように聞こえたの・・・ 正岡子規 「病牀苦語」
・・・ぼくのように働いている仲間よ、仲間よ、ぼくたちはこんな卑怯さを世界から無くしてしまおうでないか。一九二五、四月一日 火曜日 晴今日から新らしい一学期だ。けれども学校へ行っても何だか張合いがなかった。一年生はまだはいら・・・ 宮沢賢治 「或る農学生の日誌」
・・・ 年とったひとのためには、ただ若い華やぎとうつる青春の生活の基礎に健全なこういう種類の友だち、仲間、協力者としての異性の関係が成長していることを周囲にわからせようとしている。ところで、本当に人間らしい関係に立って男女が協力し合うというこ・・・ 宮本百合子 「明日をつくる力」
・・・ これらの仲間の中には繩の一端へ牝牛または犢をつけて牽いてゆくものもある。牛のすぐ後ろへ続いて、妻が大きな手籠をさげて牛の尻を葉のついたままの生の木枝で鞭打きながら往く、手籠の内から雛鶏の頭か、さなくば家鴨の頭がのぞいている。これらの女・・・ 著:モーパッサン ギ・ド 訳:国木田独歩 「糸くず」
・・・その三年目がエエリヒ・シュミット総長の下に、大学の三百年祭をする年に当ったので、秀麿も鍔の嵌まった松明を手に持って、松明行列の仲間に這入って、ベルリンの町を練って歩いた。大学にいる間、秀麿はこの期にはこれこれの講義を聴くと云うことを、精しく・・・ 森鴎外 「かのように」
・・・ついに家中の十人の内九人までが軽薄なへつらい者になり、互いに利害相結んで、仲間ぼめと正直者の排除に努める。しかも大将は、うぬぼれのゆえに、この事態に気づかない。百人の中に四、五人の賢人があっても目にはつかない。いざという時には、この四、五人・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
出典:青空文庫