・・・若し現今、男性の社会生活が認定して居る或権利でも、其の価値が低級である場合には、其の存在を否定する丈の見識がなければなりません。 私共は落付いて、真剣に、人格的自由と云う事を考えなければなるまいと存じます。教養のない者の破廉恥は、教養あ・・・ 宮本百合子 「C先生への手紙」
・・・ 真の向上心は欠け、自らそのことを実行しない、しても渦中にないという丈で、云える批評で、安心するのは低級至極な話だ。わかって居るつもりで、私は自分のきらう口やかましく実力なき批評家の一人になりかけた。どうかしてもっと鋭き wide-aw・・・ 宮本百合子 「一九二三年冬」
・・・H来クラマールへ 引こす相談 五日 モスクへ手紙 No. 30 土ジェネへ二人で、十一時の汽車で立つというのに中途でm気分わるくして、中止、口先の同情実に低級な同情を欲するわめく。そこへ他人・・・ 宮本百合子 「「道標」創作メモ」
・・・ 農民はたしかに低級な趣味と智能を持って居るばかりだと云って良い。けれ共、農業をする事の大切だと云う事を農民自身に感じさせたいものだと思う。東京へ東京へと浮足たって居ながらする農業は、目覚ましい発達を仕様はずがない。東北の農業の振わない・・・ 宮本百合子 「農村」
・・・一方ブルジョア雑誌は不景気を切り抜け、民衆を現実から欺瞞する為に低級なエロとナンセンスで売りつけようとします。故に彼等は真面目な作品よりもエロとナンセンスを要求します。彼女等はエロやナンセンスを書くことを悲しいと思う。然し書かねば喰えないか・・・ 宮本百合子 「婦人作家の「不振」とその社会的原因」
・・・もしこの種の外形的な努力が反省なしに続けて行かれるならば、日本画は低級芸術として時代の進展から落伍する時機が来るであろう。 この危険を救うものは画家の内部の革新である。芸人をやめて芸術家となることである。 院展日本画の大体としての印・・・ 和辻哲郎 「院展日本画所感」
・・・ 低級な戦争目的が世界的問題となるようなことは、その時にはもう起こらない。新しい世界人の関心事は人生の目的である。人間の生活そのものが、すべての問題の焦点に来る。国家は、人生目的の実現に対して有利であるという事をほかにして、もはや存在の・・・ 和辻哲郎 「世界の変革と芸術」
出典:青空文庫