・・・インテリゲンツィアがナチスの独裁へ反抗を示すことは、とりも直さず日本のなかで益々独裁を強化して来た絶対主義体制への抗議を意味したのであった。こうして、人民戦線の提唱のとき、もう近代の民主的主張をひっこめて、非政治的に、非社会的にそれを提案し・・・ 宮本百合子 「誰のために」
・・・それらを可能にしている資本主義体制と闘うのは、歴史の必然の力であります。支配階級が彼等の利益と権力とを擁護するためにこしらえている法律に、われわれ働くものの意志は反映していない。そこには抑圧し、無力にさせようと欲するものの意志があるだけです・・・ 宮本百合子 「同志たちは無罪なのです」
・・・然し、現代の高度な資本主義の社会観の発展と地球六分の一をしめる社会主義体制との摩擦は、自ら異った容貌で、新興勢力の裡にふくまれている強大な可能性を歪曲しつつあるのであるまいか。 エンゲルスがマーガレット・ハークネスに送った手紙に「作・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・まして、自由党以下共産党以外の政党は、日本の旧体制の支持者であるとき、婦人代議士ばかりが、民主的であることが出来ようか。「女は女で」――投票はそれで集められたろうけれども、政治の実際に当って、例えば五人の自由党婦人代議士が自由党の立場にどれ・・・ 宮本百合子 「春遠し」
・・・ 聴取者は生きている あちらこちらでラジオのことが考えられている様子で、十二月号の『中央公論』に宮原誠一氏が「放送新体制への要望」という文章をかいていられる。 筆者の閲歴などについて全然知らないから、その文・・・ 宮本百合子 「ラジオ時評」
はしがき一、現在のソ同盟の労働者・農民の生活二、ソヴェト同盟の兄弟たちは、どんな闘争を通じて勝利を得たのか三、ソヴェト同盟の国家体制と日本の国家体制 はしがき 去る九月十八・・・ 宮本百合子 「労働者農民の国家とブルジョア地主の国家」
・・・つねに、軍事紛争をひきおこしていて、それが新しい戦争のためにおそるべき道をひらく危険をもっている植民地体制に反対することを宣言しています。 去年の八月十五日、わたしたちが声をあわせて戦争挑発をやめよ、と叫んだとき、それは、きょうの日本の・・・ 宮本百合子 「わたしたちには選ぶ権利がある」
・・・ 生活新体制へ婦人のさまざまな力が役立てられてゆくのであるが、こういう傷ましい社会の現象に対して母性の心は痛みなしにはあり得ないと思う。母の思いはわが子の上にばかりかばい注がれる時代をすでに一歩あゆみ出している。母心の叡智も個人的なもの・・・ 宮本百合子 「私の感想」
出典:青空文庫