・・・小資本は大資本に併合される。それから銀行と産業とが結びついて、金融資本が発生し、金融寡頭政治ができてくる。 資本家の間に於ける独占は、始めは国内の市場をそれぞれに分割する。が、国内の市場は、資本主義の下では、外国市場と密接な関係を持って・・・ 黒島伝治 「反戦文学論」
・・・彼が重力の理論で手を廻さなかった電磁気論は、ワイルによって彼の一般相対性原理の圏内に併合されたようである。これが成効であるとしても、まだ彼の目前には大きな問題が残されている。それはいわゆる「素量」の問題である。この問題にも彼は久しい前から手・・・ 寺田寅彦 「アインシュタイン」
・・・音楽の先生などは、これまでの殆ど倍の授業時間となるということをきいた。併合して教えるとするにしても、いちどきに百人から百五十人を入れる唱歌教室をどの小学校でも持っているというわけではあるまい。倍の労力に対する先生への報酬は、どのように変化す・・・ 宮本百合子 「国民学校への過程」
一九二〇年三月二十二日 郡山は市に成ろうとして居る。桑野は当然その一部として併合されるべきものである。村の古老は、一種の郷土的愛から、その自治権を失うことを惜しみ、或者は村会議員として与えられて居た名誉職を手放す事をな・・・ 宮本百合子 「日記・書簡」
・・・ やがて、それらの村々が併合されて郡山が市になった。村の小学校を出た少年少女は殆どのこらず工場や商店に通うようになり、バスが通りはじめた。 今度の事変がはじまった。先ずガソリン節約でバスがまた一日二三度しか通らなくなったことから始ま・・・ 宮本百合子 「村の三代」
出典:青空文庫