・・・世界ファシズムがふたたび擡頭していること、日本の屈従的な政府は、自身の反歴史的な権力維持のためには、人民生活を犠牲にして大木のかげに依存していることなどについて明瞭に理解してきた。一九四八年のなか頃から、国内にたかまってきている民族自立と世・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十一巻)」
・・・もしせまい家庭にかがまって夫に依存する女になったら、急に色あせ、しぼむことはないものだろうか。二人で働いて、たたかって生きてゆこうというのならば、きょうの日本では、まだまだ婦人よりも「家庭をもつ」男性の感情のなかに整理されなければならないも・・・ 宮本百合子 「文学と生活」
・・・文学の真の発展が阻害されている一時期に生じる作家と読者との黙契的諒解の上に依存して、作者の不分明な思惟や紛糾した表現を、それが不分明であり不鮮明であるため却って読者の方が暇にあかせ根気よく、各自の気分で読んで、むこうから解説し内容づけてくれ・・・ 宮本百合子 「「迷いの末は」」
・・・ 強い人間にとっては重荷であるが面白い、弱い人間にとっては益々その人を弱くし卑屈にし、依存的にさせる、母はそんな風な猛烈な性格者であった。ですからまことに、歴史的に見て興味があり、子供との関係でも、母から溺愛的に愛された子は、何かしら母・・・ 宮本百合子 「わが母をおもう」
出典:青空文庫