・・・文学の忠僕たる小生は切に諸君の健闘を祈る。 内田魯庵 「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」
・・・自重健闘を祈る。―― 吉田は、紙切れに鉛筆で走り書きをして、母に渡した。「これを依田君に渡して下さい。私はちょっと行って来ますから。心配しないで下さいね。大丈夫だから」 老母の眼からは、涙が落ちた。 吉田は胸が痛かった。・・・ 葉山嘉樹 「生爪を剥ぐ」
・・・大きく暗くおそろしい嵐がすぎて空ににおやかな虹のかかったとき、再び顔と顔とを見合わせた男女が、互の健闘を慶び、生きていることをよろこび、そのよろこばしさにひとしお愛を燃えたたせる姿がある。すがすがしい一種の革命的リリシズムがある。「風知草」・・・ 宮本百合子 「解説(『風知草』)」
出典:青空文庫