・・・その毘陵の人が来たので、季因是は大天狗で、「近ごろ大した物を手に入れましたが、それは乃ち唐氏の旧蔵の名物で、わざとにも御評鑒を得たいと思っておりましたところを、丁度御光来を得ましたのは誠に仕合せで」という談だ。趙再思はただハイハイといってい・・・ 幸田露伴 「骨董」
・・・当地ハ成田山新勝寺オヨビ三里塚ノ近クニ候エバ当地ニ御光来ノ節ハ御案内仕ル可ク候。」 月日。「俺たち友人にだけでも、けちなポオズをよしたら、なにか、損をするのかね。ちょっと、日本中に類のない愚劣頑迷の御手簡、ただいま覗いてみました・・・ 太宰治 「虚構の春」
・・・が下りていて、その一枚一枚のすき間から御天道様が御光来である。ハハーいよいよ春めいて来てありがたい、こんな天気は倫敦じゃ拝めなかろうと思っていたが、やはり人間の住んでる所だけあって日の当る事もあるんだなとちょっと悟りを開いた。それから天井を・・・ 夏目漱石 「倫敦消息」
・・・昨夜華光来趁我、臨行奪下一金磚、と歌いきって櫓を放した。それから船頭が、板刀麺が喰いたいか、飩が喰いたいか、などと分らぬことをいうて宋江を嚇す処へ行きかけたが、それはいよいよ写実に遠ざかるから全く考を転じて、使の役目でここを渡ることにしよう・・・ 正岡子規 「句合の月」
出典:青空文庫