・・・その後野沢富美子さんは、さまざま生活の波瀾に苦しい経験を重ねた末、一九四五年共産党に入党した。それから結婚した。党員小池富美子として発表された「女子共産党員の手記」は、まだ多分に、この作者が幼時の環境からしみこまされていたアナーキスティック・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十五巻)」
・・・『世界の顔』で、国際的信望を失いつつある鳩山一郎氏が、自由党という第一党の首領であり得ることも、おどろかれるし、現職のまま幣原首相が進歩党の総裁となって入党したことも、民主とはかかることにさえつけられる名称かと、日本の民主主義の異常さに、目・・・ 宮本百合子 「一票の教訓」
・・・ 真面目な若い一人の特攻隊長が、自身の責任と人民の不幸とに刺戟されて、社会的解毒剤たる共産党に入党したという記事があった。若き率直さをほむべきかな。「選挙対策」に腐心して、一歩一歩人民の真の必要から離れつつある政党の首領たちは、その一歩・・・ 宮本百合子 「女の手帖」
・・・それによると、ケーテ・コルヴィッツは一九三五年、ナチスへの入党をこばんだために、ヒトラー政府から画家として制作することを禁じられた。当時ケーテは六十八歳になっていた。彼女から制作と生活とを奪ったナチス・ドイツが無条件降伏したのは一九四五年五・・・ 宮本百合子 「ケーテ・コルヴィッツの画業」
新聞に、ぽつぽつと婦人代議士として立候補を予測される人々の写真などがのりはじめた。自分ではっきり立候補の計画をもっている婦人たちは、ふさわしいと判断した政党に入党手続をしたと報道されているし、立候補を予測されている人の中で・・・ 宮本百合子 「現実に立って」
六十八歳になられた作家森田草平氏が入党されたということは、多くの人にいろいろと語りかけるいみを持っています。人間は理性のある限り、年齢にかかわらず正しいと思う生活に前進するものであるという愉快な一つの例でもあります。早く老・・・ 宮本百合子 「心から送る拍手」
・・・と闘っているニュースをのせ、四日には「新春いろどる新入党」と作家・芸能人の入党記事はなやかだった。すべての記事が選挙闘争めざしてプラスに統一されているなかに、なぜポツンと「火ばな」が、ああいう投書をのせなければならなかったのだろうか。奇異な・・・ 宮本百合子 「事実にたって」
・・・ 憲法・民法が個人の自由を示しているこんにちでさえ、入党を親にかくさなければならない娘たち、夫にかくれて党を支持する妻がある。こういう条件におかれている進歩的な人自身、またその仲間たちは、あらゆる場合に、生活の現実から、権力におどかされ・・・ 宮本百合子 「肉親」
・・・私も入党した。十二月、この本部の二階広間の畳の上で、合法的第一回、実質的には第四回大会がもたれた。五百余名の人々が集った。この大会は二年後の一九四〔七〕年第六回大会がもたれたとき、凡そ十万近い党員を代表する数百名の代議員の出席している光・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・ わたしは、一九三一年十月入党後、前後五回の検挙投獄を経験しました。しかし組織の秘密は守られ、屈服しなかったために、一九四一年十二月九日、太平洋戦争とともに戦争に非協力な共産主義者として投獄されました。一九四二年七月、巣鴨拘置所で熱射・・・ 宮本百合子 「文学について」
出典:青空文庫