・・・ 読売新聞は十一月十五日、ほとんど三面全部をつかって、「無人電車暴走の全貌」「自供、あやまてりわが労働運動、人間竹内の上申書」「横谷にそそのかされ二人で運転台へ」といういわゆる上申書の内容を公表した。「私は実は十一月四日の第一回公判・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・『プロレタリア文化』三月特輯号に掲載された同志松山、坂井の論文は、前者は全文化運動の新らしい活動家のタイプ、指導的理論家としての同志小林の輝やかしい発展を跡づけることによって、後者は前衛作家同志小林の全貌を押し出すことによって、同志小林の業・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
・・・現在は、タイプとして新しいプロレタリア文学の活動家がまだ全貌を現すところまで成熟せず、健康な伝統と影響とは、勤労大衆のうちに文学的に未熟なものとして保有されている。いろいろな雑誌に対する読者からのこまかい反応を観察することによって、その事実・・・ 宮本百合子 「冬を越す蕾」
・・・ ゴーリキイのイタリーにおける五年間の生活は、たえまない注意でソヴェト同盟の建設を研究することと、今こそ彼の目にも全貌を示した反革命的陰謀からソヴェト同盟の建設を擁護するための、大小様々の活動であった。革命運動から転落してイタリーへ行っ・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」
・・・ 今や、私たち日本の人民は、自分たちの払った犠牲の全貌について、やっとその真実の幾部分かずつを知りはじめた。太平洋戦争において陸軍関係の人的損耗、四九万六千人海軍関係人的損耗、六六万二〇七九人太平洋戦争開始以来一般空襲被・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・これでよほどはっきりして来たが、しかしまだ雲岡の全貌を伝えるには足りなかった。その後二十年くらいたって、奈良の飛鳥園が撮影しに行き、『雲岡石窟大観』という写真集を出した。水野精一君たちの精密な実地踏査が始まったのもそのころで、その成果『雲岡・・・ 和辻哲郎 「麦積山塑像の示唆するもの」
出典:青空文庫