・・・檄はマルクスと二人の同志とを叛逆罪として起訴する種に使われた。公判の結果、一同無罪となった。 これはイエニーにとって貴重な経験であった。良人カールとその同志たちの行動は「実に犯してよい行動、本来からいえばブルジョアジーの果すべき義務であ・・・ 宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
三月十五日は三・一五の記念日だから共産党の公判を傍聴に行こうとお友達○○○さんに誘われました。わたしはこれまで新聞で公判のことをときどき読んでいましたが、どうもよく本当の様子が分りませんでした。正直に云うとこわいもの見たさ・・・ 宮本百合子 「共産党公判を傍聴して」
・・・ それより前には、志賀暁子の嬰児遺棄致死罪についての公判記事が写真入りでのっており、又、解雇されたことを悲しんで省電に飛び込み自殺をしかけて片脚を失った少女の写真があった。新潟から身売娘が三十人一団となって上京した写真も目にのこっている・・・ 宮本百合子 「暮の街」
・・・三月二十四日に予審が終った時、私は外に出たら何よりも先にあなたのところへ出かけてゆき、過去一年間の様々の経験の中から積み重ねた成長の花束を見せて上げたい、見て欲しいと思っていたのですが、公判がすまないうちは面会も手紙も許可されぬ由。其で、こ・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・大泉という人の公判調書二通が一番新しい分です。おや、ここに小さい字があって、九月三日に五十三円もらったと書いてありました、奥さんの字よ。 輝ちゃんの毛糸のことは本当にいい思い付きです。あなたのジャケツは私の唯一の避難用下着だから、私ので・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・河合栄治郎の公判記録が、『自由に死す』というパンフレットになって刊行された。彼のような穏当な学究さえも彼の理性が超国家主義と絶対主義に服従しないで立っているという理由で起訴され裁判された。河合栄治郎が学者としての良心の最低線を守ろうとした抵・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・ 今年の前半は去年から引続き三鷹事件の公判が続くでしょう。この公判には組合の人々も都合して一人でも多く傍聴する必要があります。検事が不当な取調べをしたと云う事は公判第一日から五回迄の陳述の中に、ハッキリ述べられています。林弁護人の陳述の・・・ 宮本百合子 「今年こそは」
・・・いま公判がひらかれている吉村隊長が、外蒙の日本人捕虜収容所のボスとして行った残虐と背徳行為が社会問題化したのは、「暁に祈る」という怪奇なテーマをもつ記録文学がいくとおりか発表され、輿論の注目をひいたためであった。現地の軍当局の信じられないほ・・・ 宮本百合子 「ことの真実」
・・・ 暮から東京裁判はA級被告東條英機の公判に入った。ところがこの頃、わたしたちは、電車の中で折々どういう言葉をきくだろう。さすが東條だ、という声がある。えらい、と云われている声さえある。新聞は東條に再び人気が出たと書いている。これは、私た・・・ 宮本百合子 「砂糖・健忘症」
・・・そして、日大ギャング事件の山際・左文の公判記事は、大きく写真入りで扱われている。 信濃教育会教育研究所が、小学生の行動について父兄が問題だと考える点を調査したら、「無作法」各学年を通じて七〇%、「根気がない」三年七六%、六年七三%、・・・ 宮本百合子 「修身」
出典:青空文庫