-
・・・ そういう訳で銘々勝手な本を読みますから、先生は随分うるさいのですが、其の代り銘々が自家でもって十分苦しんで読んで、字が分らなければ字引を引き、意味が取れなければ再思三考するというように勉強した揚句に、いよいよ分らないというところだけを・・・
幸田露伴
「学生時代」
-
・・・ しかるに毘陵の趙再思という者が、偶然泰興を過ぎたので、知合であったから季因是の家をおとずれた。毘陵は即ち唐家のあるところの地で、同じ毘陵の者であるから、趙再思も唐家に遊んだこともあって、彼の大名物の定鼎を見たこともあったのである。その・・・
幸田露伴
「骨董」