・・・作家島木氏として現れたのは出獄後のことである。その他多くの人々がそれぞれの道の違いはあっても、同じような性質の職能の変化でもって今日作家として活動していると思う。 去年の十二月二十二日にモスクワでニコライ・アレクセーヴィッチ・オストロフ・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムへの道」
・・・この人は、犬養首相を射殺して禁固十年の判決をうけ、七年たった昭和十三年に仮出獄したそうです。それからまた不敬罪によって三年間未決にいたときに終戦となりました。その後、故郷の新潟県関山でもと陸軍の演習地であった四十町歩の土地の開墾をはじめ、製・・・ 宮本百合子 「ファシズムは生きている」
・・・今度出獄したすべてのものが治安維持法の尊敬すべき犠牲者、英雄のように新聞やラジオで語り、語られているのであったが、その中に、元来が積極的な戦争強行論者で、その点が当時として反政府的であったために拘禁されていたというような人物までがまじってい・・・ 宮本百合子 「風知草」
・・・それにもかかわらず、まだ健康も十分恢復していないのに、出獄してからもういくつかの執筆をしている。中本さんらしい骨身を惜しまなさが感じられるのである。「白衣作業」もその一つの作品である。これまで、こういう題材が婦人作家にとりあげられたことはな・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
出典:青空文庫