・・・ 「そうですな、野布袋という奴は元来重いんでございます、そいつを重くちゃいやだから、それで工夫をして、竹がまだ野に生きている中に少し切目なんか入れましたり、痛めたりしまして、十分に育たないように片っ方をそういうように痛める、右なら右、左・・・ 幸田露伴 「幻談」
・・・で舞台に一定の直径をもつ円い切り目を入れた。中心部は動かない。そのまわりの相当ひろい輪が、いろんな場面をのせて、グルリとまわる。或るところでその輪は、急速力で一回転二回転して、メイエルホリドらしい、群集の心理激動の描写をやる。 仕事着を・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・ 私はうれしさに我を忘れて一気に向うまで馳け抜けて見ると、丁度カステラの切り目そっくりながけが目の前に切ったって居る。 私には見当もつかない程低い低い下の方から先(ぐの足元まで這い上って居るそのの面は鋭い武器で切られた様に滑らかそう・・・ 宮本百合子 「追憶」
出典:青空文庫