・・・法律的な立場から見て嬰児を死に到らしめた処置が制裁される事は誰しもとやかく云うべきでない事は知っています。然し女であるものの心持からすると、この場合に云われている母性というものの解釈が何かぴったりしない所があります。山本有三氏が自身の作品を・・・ 宮本百合子 「「女の一生」と志賀暁子の場合」
・・・転向文学という独特な通称がおこったほど、当時は過去を描いた作品がプロレタリア作家によって発表されたのであったが、その一貫した特徴は、文化運動を通じての活動によって法律の制裁をも受けた当事者たちの箇人的な意味での自己曝露であり、良心の苦悩の告・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・定めは、種々の場合に変革をうけ、そこには苛酷な制裁や、意外の寛大があった。集団して生きる部族の政治は、ひとかたまりに生きてゆくやりかた、としてはじまって、やがて階級分化を行った人の集団と集団間のいきさつとなっていった。生きてゆくやりかた、の・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
・・・余り非社会的な行為をする場合には共産党青年団の中で、同志的制裁を加えるか、反省を促される。 女の社会的価値を無視したことをやれば勿論除名もされ得る。けれどもそれだけが第一の問題となって除名されるということはない。 つまりそういうこと・・・ 宮本百合子 「ソヴェトに於ける「恋愛の自由」に就て」
・・・余り非社会的な行為をする場合には青年共産主義同盟の中で、同志的制裁を加えるか、反省を促される。女の社会的価値を無視したことをやれば勿論除名もされ得る。だけれどもそれだけが第一の問題となって除名されるということはない。つまりそういうことをする・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・法律の制裁がこわいより、我心が許さないと堕胎をしなかった若い女として描いている。新聞の脱税事件、収賄事件に公憤を感じざるを得ない允子である。息子に真理を教えようとして、今日の日本の母としては最も進歩的に性の教育にさえのり出した母であった。パ・・・ 宮本百合子 「山本有三氏の境地」
・・・近松は、この世の義理に苦しみ、社会の制裁に怯える男女の歎きと愛着とを、七五調の極めて情緒的な、感性的な文章で愬えて、当時のあらゆる人の心を魅した。社会の身分の差別はどうあろうとも、偶然の機会から相寄った一組の男女が、自然のままに自分達の感情・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫