・・・、出産後小児に乳を授け衣服を着せ寒暑昼夜の注意心配、他人の知らぬ所に苦労多く、身体も為めに瘠せ衰うる程の次第なれば、父たる者は其苦労を分ち、仮令い戸外の業務あるも事情の許す限りは時を偸んで小児の養育に助力し、暫くにても妻を休息せしむ可し。世・・・ 福沢諭吉 「新女大学」
・・・そして居住地域の産院、母子健康相談所が、若い母と子との健康のために助力します。これは、工場や官庁に働く婦人、女教師などに大体同じ事情です。婦人と職業、結婚、家庭生活の問題は、いまの日本ですべての若いまじめな女性の問題です。社会のために行われ・・・ 宮本百合子 「生きるための協力者」
・・・人間は、より高大な、啓発された生活へ自分の霊を育てる為の助力者、試金石、として、先ず最も自分に近く、最も自分の負うべき自明の責任の権化である配偶を持たずには居られない本能を有するのではないか。 少くとも、自分は自分の結婚に対して、以上の・・・ 宮本百合子 「黄銅時代の為」
・・・ けれども、現代の一般社会には、女性の人としての生活、人としての発展を心から肯定し助力しようとする傾向と並んで、因襲的な過去の亡霊にしがみ付いて、飽までも女性を昔ながらの「女」にして置こうとする傾向とがあるように、女性の心そのものの裡に・・・ 宮本百合子 「概念と心其もの」
・・・ 父シュミットは、ケーテの幼い時からその才能を認め、画家として成長するためにはすべての助力を惜しまずに来た。けれど、いよいよこの期待すべき娘が、若い医師コルヴィッツと結婚するときまったとき、ひとつの忠言を与えた。それは妻となり母となるた・・・ 宮本百合子 「ケーテ・コルヴィッツの画業」
・・・作家はそのために技術的助力をすべきであるという要求が、一般勤労者の中から湧き上って来た。 これは、文学の分野だけのことではなかった。例えば、工場内の素人劇団の数が最近夥しく殖えた。彼等は活溌に機会を捕え、その場合場合に適した題材で即興的・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・今日猶まことに壮健である財閥の七変化的存在への助力。戦時利得税、財産税についての解説一つでも真面目に聴いたらば、人民は、曖昧な日本的薄笑いを口辺に浮べてはいないと思う。貿易局の頭に三井財閥を坐らせている政府。銀行、大企業が、9/10を所有し・・・ 宮本百合子 「逆立ちの公・私」
・・・それらの階級的良心ある勤労婦人がプロレタリア革命の意味を真に理解し、偉大な助力をプロレタリア国家に捧げていることは疑いない。我々は工場において、各々の職場において実践のうちに経験しているところであります。 ところで、都会はそういう有様だ・・・ 宮本百合子 「三月八日は女の日だ」
・・・ 植木屋を手伝い、男――良人や男の子等は、花壇作り樹木の植つけ等を、分に応じて助力する。母親や娘は、彼女等の手芸、刺繍、パッチ・ウワーク等を応用して、暇々に、新たな壁紙に似合う垂帳、クッション、足台等を拵える。 公共建築や宮殿のよう・・・ 宮本百合子 「書斎を中心にした家」
・・・私たち女性は、組織の形はどのようでもいいから、本当に社会に役立っている女性の肉体と精神の健全のために具体的な助力を与える実力をもった組織がほしいと思う心は切である。〔一九四一年二月〕 宮本百合子 「女性の現実」
出典:青空文庫