・・・各論文は、当時の文学的動向に対して常に緊要と認められた問題にふれているばかりでなく、プロレタリア文学の若き一人の支持者として「『敗北』の文学」を書き、又「過渡時代の道標」を書いた筆者自身が、かかる急速な左翼文化・文芸運動の波の裡にあって、強・・・ 宮本百合子 「『文芸評論』出版について」
・・・円本時代に頻出した作家たちの海外漫遊は、ある一部の日本の作家達の経済的向上を語ったと同時に、微妙な独特性でその後におけるそれらの作家達の社会的動向に影響を及ぼした。 一九二九年以来、世界の事情は急変した。久米正雄氏が嘗て美しい夫人を伴っ・・・ 宮本百合子 「「迷いの末は」」
・・・私はこうした立場から終戦後の文化動向に関する一般報告を文化、芸術の面から行いたいと思う。〔一九四七年七月〕 宮本百合子 「明瞭で誠実な情熱」
・・・ある人々の主観の中での昂りでなく、人間生活の歴史的動向に沿うて上昇し発展されなければなるまい。子供を愛すことも出来ないで何のヒューマニズムぞやと云いすてるところから、今日人々が再び、子供を愛すとはどういうことなのだろう、ヒューマニズムとはど・・・ 宮本百合子 「夜叉のなげき」
出典:青空文庫