・・・三十八度線を区ぎりとして、北朝鮮の人民共和国が見えます。その東に、太平洋に弓なりにかかって、わたしたちの祖国日本があります。 けれども、今日アジアの地図の中に見る日本は、わたしたちの心を苦痛でみたします。ソヴェト同盟の国境、朝鮮、満州を・・・ 宮本百合子 「新しいアジアのために」
・・・同時に日本の大衆が人民的な民主主義の道を歩きはじめて、中国や北朝鮮のひとびとの現実の建設を眼近にみるにつれ、遠い一つの社会主義的実験国のように思われていたソヴェト同盟の生き方が、案外にも日本のわたしたちの日常につらなったものであることが実感・・・ 宮本百合子 「あとがき(『モスクワ印象記』)」
・・・一九四五年に東ヨーロッパに人民民主主義政権が確立し、北朝鮮の共和政権が生れ、一九四九年十月には中華人民共和国が出発した。わたしたちが日本のこんにちの現実の中に生き、そして死ななければならない八千五百万の日本人民の一人としての自分の人生を思う・・・ 宮本百合子 「文学と生活」
出典:青空文庫