・・・「私どもはあなたの部下です。判事や検事やなんかです。」「そうですか。それでは私はここの主人ですね。」「さようでございます。」 こんなような訳でペンネンネンネンネン・ネネムは一ぺんに世界裁判長になって、みんなに囲まれて裁判長室・・・ 宮沢賢治 「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」
・・・ そこで判事や検事は、事件を社会問題としての面で強調して、生活苦ということを主張なさったわけです。けれども、どなたかふれられたように本人は生活苦じゃないといっているんです。そうすれば、あの殺した動機というのは、率直に申しますとつまりやけ・・・ 宮本百合子 「浦和充子の事件に関して」
・・・若い時代に大変苦心して大学教育をうけ、判事試補にまでなったのだが、当時ビスマークを首相として人民を圧迫していたウィルヘルム二世の官吏として人民に対することは、自分の良心にそむくことを知って、職をすて、改めて左官屋の仕事を学んだ。左官屋といっ・・・ 宮本百合子 「ケーテ・コルヴィッツの画業」
・・・保釈の際、判事は二・二六による戒厳令下の事情によって百合子の公判が終了するまで顕治への面会通信は控えるようにといった。 六月二十六日 〔市ヶ谷刑務所の顕治宛 駒込林町より〕 二十六日の夜。九時 第一信[自注2] 今・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・闇買いをしないために営養失調から死んだ判事の問題が新聞に報じられているし「葦折れぬ」という一冊の本は、闇買いをわるいこととして絶対にそれをしないで病死した一人の若い女教師の手記である。クリスチャンということをこの頃強調する片山首相夫人は、営・・・ 宮本百合子 「再版について(『私たちの建設』)」
・・・ そこを予審判事が特別に注意したことから、無罪を証明し得るに至る過程は成立しているのである。 一般の読者は、この全く特徴的な数行を何等不思議な気がしないでよむのだろうか。探偵小説の読者というものは、こういう我々の常識で合点のゆかない・・・ 宮本百合子 「作家のみた科学者の文学的活動」
・・・そして十月二十四日、五日と月末の二度に八王子地検の相川判事によって他被告との関係について「宣誓の上供述して」それを調書にとられた。第一回公判をひかえた十一月二日に竹内被告は、思想を異にする弁護人を希望しないという理由で自由法曹団の人々をこと・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・アメリカの大審院判事W・O・ダグラスというひとがニューヨークのある晩餐会で話したという言葉がつたえられている。「いまや世界の各地には、かつてアメリカでおこなわれたと同じような革命が進行しつつある。大切なのはこれにたいする管理と指導である。将・・・ 宮本百合子 「「人間関係方面の成果」」
・・・小使がつい、予審判事に戒厳令という言葉を言ったために。三月。下旬、予審終結。ひどく健康を害していたために市ヶ谷からじかに慶応大学病院に入院した。六月。公判、懲役〔二〕年、執行猶予〔四〕年を言い渡された。予審と公判とを通じて私は文学の・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・ そのような環境の中に幼時を経た頭の鋭い感傷的な性格のロオルは、僅か十五の年、宮廷裁判所の判事である貴族出のベルニィと結婚させられた。大革命期には夫妻とも九ヵ月幽閉され、ロベスピエールの失脚によって解放された経験もある。早すぎて母になっ・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
出典:青空文庫