・・・「資本主義時代は平均十二時間、三十五留――韃靼人やアルメニア人は同じ労働で、半額が普通だったです。――」櫓を降り、変にポタポタと靴の裏にはりつくような地面を事務所の方へ歩きながら、その技師は、バクーの油田が無慮二百七十の大小会社によって・・・ 宮本百合子 「石油の都バクーへ」
・・・ ソヴェト政権は、勤労婦人に出産前後四ヵ月の給料つき休暇と、月給の半額までの出産支度金と、九ヵ月間の牛乳代まで出してくれる。 それほど母と子との権利を守られていても自分の住む区に、託児所が足りなかったり、母子健康相談所の設備が足りな・・・ 宮本百合子 「ソヴェト同盟の婦人と選挙」
・・・若し有料診療を受けなけりゃならない場合は半額だ。おまけに、ソヴェトでは家賃というものが、月給に応じた割合で払えばいいことになっているんだからな。 ――そうかい! そりゃききものだ。どの産業の労働者も、家賃なんか、そういうやりかたで払って・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・だが、二留半払えばいい。半額なのだ。 若い元気のいい女が白い上っ被りをきて、白や赤の布で髪をつつんで、テキパキと給仕してくれる。どの皿も半額だ。さっきの食券をわたして食べる。 居る連中も、地下室時代とはちがう。一仕事がすんで息を入れ・・・ 宮本百合子 「ソヴェト文壇の現状」
・・・ 芝居、音楽会、キネマなんかを見るのに、労働組合員は半額だ。 毎年盛んなメー・デーのデモが行われるが、翌日五月二日の祭りには、あらゆる興行物が無代でスッカリ勤労大衆のために解放されるのだ。 そして丈夫に 医・・・ 宮本百合子 「ソヴェト労働者の解放された生活」
・・・労働者及び勤め人、そういうものは自分達の職業組合を通じて切符を半額で貰う。或る場合は全然只で貰う。 それで劇場は必ずいつでも何割かを職業組合のために場所を取っている。あとの我々みたいな外国人は、窓口へ行って、そこに書いてあるだけの金でも・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・留守宅の収入は文部省官吏とし月給半額。妻と三子あり。高等学校の学生であった頃から父の洋行したい心持はつよく、ロンドンやパリの地図はヴェデカの古本を買って暗記する位であった由。この知識が偶然の功を奏して、当時富士見町の角屋敷に官職を辞していた・・・ 宮本百合子 「中條精一郎の「家信抄」まえがきおよび註」
・・・出産仕度金は月給の半額まで支給され、ソヴェト同盟の労働法は姙娠五ヵ月以上の婦人労働者と、生れて十ヵ月未満の赤坊を抱えた婦人労働者は、殆んど絶対に解雇することは許されない。 こないだまでの世の中とは何という違いだろう! 支配人の顔なんぞ見・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
・・・そして、忽ちゴーリキイが負けた金の半額、ジャケツ、長靴などをかえして云った。「遊びだよ、これは遊びだよ。楽しみだよ。それだのにお前はまるで喧嘩腰で来る。喧嘩だってやたらむきになったんじゃ駄目だ。一度しくじってもいい。五度しくじってもいい・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・出産支度料を月給の半額まで支給する。九ヵ月間牛乳代を貰える。そして、各区の産院は無料だ。 その産院を、現実にこの眼で見学したくてやって来たのだ。「勿論結構です」 奥から看護婦が白い上っぱりをもって来てくれた。チビの自分には長くて・・・ 宮本百合子 「モスクワ日記から」
出典:青空文庫