・・・ならぬようになったのを感じたが、貧乏神に執念く取憑かれたあげくが死神にまで憑かれたと自ら思ったほどに浮世の苦酸を嘗めた男であったから、そういう感じが起ると同時にドッコイと踏止まることを知っているので、反撃的の言葉などを出すに至るべき無益と愚・・・ 幸田露伴 「鵞鳥」
ジイドが彼の近著『ソヴェト旅行記』に対して受けた非難に抗して書いている「ローランその他への反撃」という文章は悪意を底にひそめた感情の鋭さや、その感情を彼によって使い古されている切札である知力や統計の力やによって強固にしよう・・・ 宮本百合子 「こわれた鏡」
・・・の腕に魅せられた人々は、今猶上に引いた序文の言葉の魔術や、八方からの反撃にかかわらずジイドが飽くまで真理を追究しようとしている態度という架想に陥って、人類の文学の今日の多難な道の上にこの小冊子の著者が撒いている細菌の本質を観破せず、或は、観・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・それは、文化面をもひきくるめてのこういう誤った全体主義の見かたが、どうして今日大衆の進歩的な部分、知識人の進歩的な部分によって、それが当然受けるべきだけ十分、論点をはっきりさせた反撃をうけずにいるかということである。その心理的な諸原因につい・・・ 宮本百合子 「全体主義への吟味」
・・・今日、ヨーロッパ地図の上で、人間の理性の地図の上で、ナチス侵入に総反撃を加えつつあるブルターニュのマーキの人々の活躍の価値を思い合わせて。 木菟党は、大革命時代に王党の残党としてブルターニュに活躍した農民軍であった。バルザックは、デュマ・・・ 宮本百合子 「バルザックについてのノート」
出典:青空文庫