・・・「妻子養うに十分の収益あり」という甘い文句の見出しで、店舗の家賃、電灯・水道代は本舗より支弁し、薬は委託でいくらでも送る。しかも、すべて卓効疑いのない請合薬で、卸値は四掛けゆえ十円売って六円の儲けがある。なお、売れても売れなくても、必ず・・・ 織田作之助 「勧善懲悪」
・・・五十人の研究の中でただの一つでも有利な結果が飛び出せば、それから得られる利益で、学者の五十人くらい一生飼い殺しにしても、なお多大の収益があるからとのことであった。戦後の世智辛さではどうなったかそれは知らない。とにかく日本などでは、まだなかな・・・ 寺田寅彦 「学問の自由」
・・・ ソヴェト同盟の耕地に一台トラクターが運転されることは、直接集団化された農民に何割かの確実な収益増大を約束するばかりではない。トラクターと一緒に文化がやって来ている。「ギガント」から一時間ばかり汽車にのっかって行くと、「ウェルブリュ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
出典:青空文庫