・・・ 婦人欄の扱いかたなどは、近頃各紙とも相当苦心の跡が見える。写真の使い方、見出しのつけ方等、時に溌剌とした印象を与えるが、概して記事の範囲、深さは婦人雑誌から遠くも広くもなり難いらしい。昔、婦人欄は主として婦人記者であったけれども、この・・・ 宮本百合子 「女性の教養と新聞」
・・・ 第一日の十一月四日、法廷にはニュース映画のカメラ、ラジオの録音の機具まで運びこまれ、まぶしいフラッシュの閃きの間に赤坊の泣声がまじり、十二名の被告が入廷するという光景であったことが、各紙に報ぜられた。その前日ごろわたしたちは、裁判所の・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・七月十八日の各紙に出ている逮捕理由はおおざっぱで独断的ですべての常識ある人には奇妙に思われるものだった。吉村隊長でさえ、検事局はあれだけ全国的に事実をかためてから逮捕した。飯田、山本両氏について、検事局は「往来危険罪で処断」と最悪の場合は死・・・ 宮本百合子 「犯人」
出典:青空文庫