・・・諸君が合同してこの土地全体を共有するようにお願いするのです。誰でも少し物を考える力のある人ならすぐわかることだと思いますが、生産の大本となる自然物、すなわち空気、水、土のごとき類のものは、人間全体で使用すべきもので、あるいはその使用の結果が・・・ 有島武郎 「小作人への告別」
・・・ここにおいてマルクスは「万国の労働者よ、合同せよ」といった。唯物史観に立脚するマルクスは、そのままに放置しておいても、資本主義的経済生活は自分で醸した内分泌の毒素によって、早晩崩壊すべきを予定していたにしても、その崩壊作用をある階級の自覚的・・・ 有島武郎 「想片」
・・・いな、彼らは、完全に一致・合同しうべきもの、させねばならぬものである。動物の群集にもあれ、人間の社会にもあれ、この二者のつねに矛盾・衝突すべき事情のもとにあるものは滅亡し、一致・合同しえたるものは繁栄していくのである。 そして、この一致・・・ 幸徳秋水 「死刑の前」
・・・炭相容れざる者の如くに考えられて居た、又た事実に於て屡ば矛盾もし衝突もした、然し此矛盾・衝突は唯だ四囲の境遇の為めに余儀なくせられ、若くば養成せられたので、其本来の性質ではない、否な彼等は完全に一致・合同し得べき者、させねばならぬものである・・・ 幸徳秋水 「死生」
・・・製紙会社が合同して王子へ独占になったような形なので、競争がなくなったもんですから、一般に紙質をわるくしてしまったんだそうです。同じ名や番号の紙でもやっぱり質は下って来ているんで、どうも……」と頸のうしろへ手を当てた。 丸善の原稿紙は紙は・・・ 宮本百合子 「打あけ話」
・・・企業合同の今日の性格の歴史的な入りくみかたを考えても、私たちの心をさわがせる胡瓜一本一本に、やはり同じような幾重もの時代の性格が絡んでいるのである。 女性の経済についての知識が、一尾の魚を幾とおりに料理出来るか、という範囲よりも、広めら・・・ 宮本百合子 「主婦意識の転換」
・・・その中にいろいろ分かれて来て鍛冶屋派や構成派を合同しようとしている。だけど、合同する為には、各団体がイデオロギー的に清算しなければならないものが、たくさんにある。現にそうするべく努力し、試みている。 今年の秋から今まであった工場内の文学・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの現状勢と芸術」
去る六月二十八日、本部において二三の政治局員と文化部関係者および新日本文学会のグループの合同会議がもたれ、来る七月三・四日に行われる党員芸術家会議に対する準備的な討論が行われたことを知りました。 その席上、わたしについ・・・ 宮本百合子 「文学について」
・・・劇作家協会と小説家協会とを合同せしめ、新に文芸家協会を作ることに尽力す。この年、四十歳になったこの作者によって、初めての長篇小説「生きとし生けるもの」が東西朝日新聞に書きはじめられた。続いて幾多の戯曲と「波」「風」等の長編小説が発表された。・・・ 宮本百合子 「山本有三氏の境地」
出典:青空文庫