・・・見物一同大満足の体で、おれの顔を見てにこにこしている。両方の電車が動き出す。これで交通の障碍がやっと除かれたのである。おれはこの出来事のために余程興奮して来たので、議会に行くことはよしにした。ぶらぶら散歩して、三十分もたってから、ちょうど歩・・・ 著:ディモフオシップ 訳:森鴎外 「襟」
・・・ほぼこれと同大のガラス板に墨と赤および緑のインキでいいかげんな絵を描いたのをこの小さなスクリーンの直接の背後へくっつけて立てて、その後ろに石油ランプを置くだけである。もっともそのスクリーンの周囲の同平面をふろしきやボール紙でともかくもふさい・・・ 寺田寅彦 「映画時代」
・・・ すぐに第四号の自画像を同大の画布にやり始める事にした。今度はずっと顔を大きくしてそして前よりも細かく調子を分析してやってみようと思った。ところが下図をかき始めにはかなり大きくかいたのが、目や鼻を直し直ししているうちに知らず知らずだんだ・・・ 寺田寅彦 「自画像」
・・・ ガラスなどの円盤の中央をたたくと、それがある整数だけのほぼ同大の扇形に割れる。これについては前に鈴木清太郎君の研究がある。これもある点では金米糖の問題と似た点もあり、またある点では「弾性的不安定」の問題とも関係しているように見える。・・・ 寺田寅彦 「自然界の縞模様」
出典:青空文庫