・・・ここに、営利会社というものの本質からの撞着の姿があるし、働く男女のおかれている社会の条件のむきつけな露出もあると思う。 国家が賃銀制その他をきわめてゆくからには、働く女のための施設について、制度としてそれを各工場や経営に行わせてゆくのは・・・ 宮本百合子 「働く婦人」
・・・ういう雑誌はむずかしすぎるという目で迎えられ、日本の婦人の社会生活の全局から見れば、その潮先ははやくつよく進み出ているが、重くひろくくらい襞々をたたんだその裾は伝統のなかに引きすえられている実状から、営利の事業として出版をつづけてゆかれなく・・・ 宮本百合子 「婦人の読書」
・・・紙が闇で、それは刻々に値上りし、紙のタヌキ御殿が出現して新聞を賑わす有様は、出版の自由がどんなに歪み、単に営利化されているかという事実を表明している。一頁あたりの闇紙が高価ならば、その一頁からうんと儲けなければならないのが、資本主義の出版企・・・ 宮本百合子 「文化生産者としての自覚」
・・・て生活している時、その人口の男女比率で婦人が三百万人も多い時、これらの勤労する全人民を、人口の半分以上の婦人のよろこびや悲しみや希望を表現する人間の表情としての文化が昔のままの少数の人、あるいは独占的営利主義の産物だけでありえようか。文化会・・・ 宮本百合子 「明瞭で誠実な情熱」
・・・『婦人民主』の特色は、婦人をくいものにするすべての営利出版に抗して、清純、良心的な立場から発刊される点である。あくまでも、真摯な婦人大衆との協働によって、この小さい『婦人民主』を、愛するに足るものに育て上げたいと願っている。〔一九四六年・・・ 宮本百合子 「われらの小さな“婦人民主”」
出典:青空文庫