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・・・ それから十分ばかりたった後、僕等はやはり向い合ったまま、木の子だの鶏だの白菜だのの多い四川料理の晩飯をはじめていた。芸者はもう林大嬌の外にも大勢僕等をとり巻いていた。のみならず彼等の後ろには鳥打帽子などをかぶった男も五六人胡弓を構えて・・・
芥川竜之介
「湖南の扇」
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・・・ 注意をひかれるのは、この作者が、「外国人は全部四川省からも揚子江からも、いまに追い出されてしまうようなことになりましょう」「われわれはこの民族の偉大な興隆のほんの始まりに居合わせただけなのです」という観念と「かれらは受身でおとなしく、・・・
宮本百合子
「「揚子江」」