・・・テニス・コートもある洋風の家と丈夫で従順な妻と丈夫なほどよい数の子供達に基礎をおいているのだが、文学の本来は、そのような一個の男の欲求の肯定から出発した設計の描写ではなくて、現代の常識が何故そのような図取りで人間に生命の保存を考えさせるか、・・・ 宮本百合子 「生態の流行」
・・・しかし、何かおぼろげにその図取りがあることはわかっている。そのことは、私たちのある心に期待や想像やを目ざまさせる。 あらましにお互のその心持をいいあらわせば、私たちは、ともかく今年力いっぱいに生きて来たとおり、来年も一生懸命に生活してゆ・・・ 宮本百合子 「働く婦人の新しい年」
・・・主として画題選択の斬新であるが、時には珍しい形象の取り合わせ、あるいは人の意表にいづるごとき新しい図取りを試みる。しかしこれらの画家を動かしているものは、岡倉覚三氏の時代の自然観、芸術観であって、その手腕の自由巧妙なるにかかわらず、我らの心・・・ 和辻哲郎 「院展日本画所感」
出典:青空文庫