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・・・「さあ、土匪の斬罪か何か見物でも出来りゃ格別だが、………」 僕はこう答えながら、内心長沙の人譚永年の顔をしかめるのを予想していた。しかし彼はもう一度愛想の好い顔に返ったぎり、少しもこだわらずに返事をした。「じゃもう一週間前に来り・・・
芥川竜之介
「湖南の扇」
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・・・しかし、彼等には、やはり、話にきいた土匪や馬賊の惨虐さが頭にこびりついていた。劣勢の場合には尻をまくって逃げだすが、優勢だと、図に乗って徹底的な惨虐性を発揮してくる。そういう話が、たった八人の彼等を、おびやかすのだった。本隊を遠く離れると、・・・
黒島伝治
「前哨」