・・・は伏見鳥羽の戦いに敗れて落ちめになってからの近藤勇と土方歳三とが、新撰組の残りを中心とする烏合の勢をひきいて甲陽鎮撫隊をつくり、甲州城にのり込もうと進むところを、勝沼で官軍に先手をうたれて包囲された物語である。風雲児的な近藤、土方が戦いを一・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・ 土方与志氏が、東宝の大世帯の全体を活用しなければならない条件を考慮しながら観てたのしく、新鮮で変化にとみ、下劣でもないよろこびを、疲れた日本に与えようとした努力は十分につぐのわれた。「真夏の夜の夢」を劇として支えているのは、アテナの二・・・ 宮本百合子 「真夏の夜の夢」
・・・一日に何度も薄茶なんか立てさせて飲む性根で、土方の仕事のしめくくりがつくと思うかと云った。政恒は、その日から薄茶を断って生涯を終った。政恒は六十歳で没した。六十歳の息子のなきがらの前にややしばらく坐っていた八十一歳の曾祖母は、おうん、と嫁で・・・ 宮本百合子 「明治のランプ」
・・・その背景とし、侵略者としての本質をかたるエピソードとして、土方という隊長の階級的タイプを一貫して描きつつ、主人公野田その他の性格と動きとを蒙古の原始的生活の前に描き出さるべきであった。 二百七枚の原稿の間には論文またはレポートの部分が三・・・ 宮本百合子 「予選通過作品選評」
出典:青空文庫