・・・あちらも、こちらも、大ごたつきに揉めて、つづまるところは、何かと云えば、それを、きっかけとして、農村では農民の自主的な組織や活動が圧殺され、都会では市民が所謂鎮圧されてしまう。やっと全人民が一歩をふみ出した民主の試みは、二歩と歩まぬうちに、・・・ 宮本百合子 「人民戦線への一歩」
・・・一九三三年プロレタリア文学運動が圧殺されて後、反ファシズムの運動として世界におこった人民戦線の活動が日本に伝えられたとき、治安維持法の脅威によって、日本における人民戦線の紹介者は、極力、「社会性を問題としない」人民戦線にとどめようとしました・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・民衆の発展的因子としてひそめられている知的欲求は、そのような前進的欲求のないのが所謂普通の民衆の一般な現実的感情であるという強引な結論と政策によって今日圧殺されているのであるし、知識人の一部は、所謂進歩的といわれる知識人達が求めているような・・・ 宮本百合子 「全体主義への吟味」
・・・ 戦時中、日本の文学者たちが示したおどろくべき文学精神の喪失は、日本の野蛮な権力による文化圧殺の結果として見られるものであるけれども、兇悪な権力が出版企業と結合して、薄弱な日本文化・文学を底から掘りかえして来た過程は、惨憺たるものがある・・・ 宮本百合子 「春桃」
・・・過去十数年に亙った政府の精神圧殺方針に対して堅い内部抵抗の力を保っていて、今日、将に、その重石がとれ、生新溌剌な圧力の高い迸りを見せている部分も、明らかに存在している。だがこの節の一般文化面を見わたしたとき、私たちの率直な感想は、どうだろう・・・ 宮本百合子 「「どう考えるか」に就て」
・・・いわば無駄に読まされた百巻の書籍に対して林のために憤怒し、正しい知識を圧殺する野獣的暴圧に対してプロレタリア作家として血の熱するのを覚える。林房雄は作品に対する批判をまともに摂取し、プロレタリア前衛としての日常生活によって速かに立ち直り、抑・・・ 宮本百合子 「文学に関する感想」
・・・ 一節で圧殺されたインターナショナルの響と、労働者を囲んで林立していたステッキとを、忘れないだろう。〔一九三一年五月〕 宮本百合子 「ワルシャワのメーデー」
出典:青空文庫