・・・ エミール・ヤニングス主演のこの映画は、はじめからおしまいまで、この主役者の濃厚な個性でおおい尽くされた地色の上に適当な色合いを見計らった脇役の模様を置いた壁掛けのようなものである。もっとも同じくヤニングスのものであっても相手役にデ・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」
・・・運命の魔女が織り成す夢幻劇の最後の幕の閉じる幔幕としてこの刺繍の壁掛けを垂下したつもりであるかもしれない。 このようにいろいろな味のちがったものを多数に全編の中に取り入れて、趣味のちがった多数の観客の享楽に適するようにしようとすれば、ど・・・ 寺田寅彦 「音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」」
出典:青空文庫