・・・ 職場の新聞は、印刷の工場新聞をもっている工場でも各職場職場が手書きの壁新聞の型で発行している。五時間毎にかわる。これは、ほんとに職場の新聞で、職場の日常的なあらゆる感想、自己批判を、洒落ででも、滑稽な色紙の切抜きをはりつけてでも、新聞・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
・・・組合の文化部が壁新聞については馴れてきたけれども、自分たちの通信員をもつことにはまだ無関心です。わたしたちの文学的成長のために、ひとの書いた小説を十冊、二十冊とよんで、巧者な批評をするということと、たった二枚だけれども生活と文学についての文・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
・・・ 絵入りの手書壁新聞が貼られている。幾列も並んでいる長い卓子の一隅で、若い看護婦が帳面に何か書いている。われわれが入って行った時、一寸頭をあげて見たきり、邪魔されず、落付いて書きつづけている。――「クララ・ツェトキンの名による産院」・・・ 宮本百合子 「モスクワ日記から」
・・・ ――私は壁新聞の責任者として云いますが、この頃、何故だかみんなの投書がへりました。どうか奮って投書して下さい。 ――氷滑りで時間がないんだ。 鉛筆をけずりながら、大人っぽい声でドゥーシャがやりかえした。 ――氷滑りにだって・・・ 宮本百合子 「ワーニカとターニャ」
出典:青空文庫