・・・がよみ直されるのみならず、人間の神性とか獣性とかいう問題にからんで云々され、不安の問題が上程され、その深めるための文学的努力はされずに舟橋聖一氏は文学における行動性ということを主張しているし、なかなか壮観です。その行動性のモデルのようにゴン・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・ その壮観を見物しようとして押しかけて来た家族連れの群集で、夜の赤い広場がまたえらい人出だ。 モスクワ市発電所の虹のようなイルミネーションが、チラチラ美しくモスクワ河の面に溶けている。赤色労働組合の総本部労働宮は、どうだ! まるで闇・・・ 宮本百合子 「勝利したプロレタリアのメーデー」
・・・この大会堂に信者が溢れて、復活祭でも行われる時は壮観であろう。然し私の好みを云うなら、自分は大浦の、女らしさの限りをつくしてレースや花にとりまかれた御母マリア、赤や紫の光線に射られ、小さい暗い宝石の結晶のように柱列、迫持の燃え立つ御堂の陰翳・・・ 宮本百合子 「長崎の一瞥」
・・・ 世界の大渦がキリキリと小さな渦巻となって、一つ一つの家庭に波及して参る様はなかなか壮観と申すべきでしょう。 きょうはおかしな小包をお送りいたします。白粉です。南の方に暮して居る人がおみやげに呉れ、パリのブルジョアのもので、いかにも・・・ 宮本百合子 「日記・書簡」
・・・もしテレビジョンが発達して、きょう、私たちの住んでいるところからも、労働者に溢れている世界の町々の光景をそっくりそのまま観ることが出来たら、それはどんなに壮観でしょう。旗はひるがえり、歌声は湧き、まるい地球は本当にきょうのメーデーにこそ、世・・・ 宮本百合子 「メーデーと婦人の生活」
出典:青空文庫