・・・あの会合は本尊が私設外務大臣で、双方が探り合いのダンマリのようなもんだったから、結局が百日鬘と青隈の公卿悪の目を剥く睨合いの見得で幕となったので、見物人はイイ気持に看惚れただけでよほどな看功者でなければドッチが上手か下手か解らなかった。あア・・・ 内田魯庵 「二葉亭追録」
・・・之を政治上に喩えて言わんに、妻が内の家事を治むるは内務大臣の如く、夫が戸外の経営に当るは外務大臣の如し。両大臣は共に一国の国事経営を負担する者にして、其官名に内外の別こそあれ、身分には軽重を見ず。然らば則ち女大学の夫に仕え云々の文は、内務大・・・ 福沢諭吉 「女大学評論」
・・・万国公法を明らかにするは外務の官員たらんがためなり。かかる勢にては、この書生輩の行末を察するに、専門には不得手にしていわゆる事務なるものに長じ、私に適せずして官に適し、官に容れざれば野に煩悶し、結局は官私不和の媒となる者、その大半におるべし・・・ 福沢諭吉 「学者安心論」
・・・川島忠之助は正金銀行の支配人として活躍したし、東海散士、柴四朗は農商務次官、代議士、大阪毎日新聞初代社長、外務参事官、閔妃事件で下獄したこともある。馬場辰猪は、明治四年頃ロンドンで法律を学び、自由党解散の前年「天賦人権論」を著し、獄中生活の・・・ 宮本百合子 「文学における今日の日本的なるもの」
・・・吉村隊の身の毛もよだつ残虐行為は、正義のために裁かれなければならないと云いながら、近藤鶴代外務次官はその口で、太平洋同盟を云っている。日本を新しい危険と不幸にまきこむかもしれない戦争を挑発しつつ、そこにはびこるのは、根づよくのこっている日本・・・ 宮本百合子 「平和をわれらに」
佐藤春夫氏の提唱によって、文芸懇話会の解散後「新日本文化の会」が出来た。同時に文部省が五十万円の補助金を出して、文部・外務・民間思想文化連合の統一体として財団法人「中央文化連盟」が結成された。先頃、帝国芸術院が出来て、一般・・・ 宮本百合子 「矛盾の一形態としての諸文化組織」
・・・良人のコルネイチュークは、ウクライナの人で、ウクライナ共和国の外務人民委員をしたばかりでなく、ウクライナ出身の詩人、劇作家としてソヴェト同盟では一流の文学者でもある。「虹」は、ナチスに侵略されたウクライナの農民が、手段の限りをつくした侵・・・ 宮本百合子 「ワンダ・ワシレーフスカヤ」
出典:青空文庫