・・・百五十円では、外食するとしたら、学資が出ませんでしょう。学生の生活というものは、働いている人々の生活と、かけ離れたものであると、いままではおもわれておりましたが、いまでは、働いている人の生活問題と、学生の生活問題とは、がっちり結びついていま・・・ 宮本百合子 「幸福について」
・・・ あの歩きつきで、細かい紺絣の袷の着物と羽織とをきて、帽子のないいが栗頭に、前年の冬はいていたひろ子の手縫いの草色足袋をはき、外食券食堂で買った飯を新聞紙にぶちまけたのをたべたべ、重吉は一人で網走から東京まで帰って来た。同じ東北本線を、・・・ 宮本百合子 「風知草」
・・・第一食事はその若い人々が、自弁で、外食券で、食べなければならない。外食券の食事が、どんな実質のものかということは、誰しも知っている。胃嚢は、つまるところ闇の食物で満たして行かなければならなかった。五、六百円の金が一皿五円のおでんを食べて、一・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫