・・・ 彼の応仁の大乱は人も知る通り細川勝元と山名宗全とが天下を半分ずつに分けて取って争ったから起ったのだが、その勝元の子が即ち政元だ。家柄ではあり、親父の余威はあり、二度も京都管領になったその政元が魔法修行者だった。政元は生れない前から魔法・・・ 幸田露伴 「魔法修行者」
・・・安富は細川の家では大したもので、応仁の恐ろしい大乱の時、敵の山名方の幾頭かの勇将軍が必死になって目ざして打取って辛くも悦んだのは安富之綱であった。又打死はしたが、相国寺の戦に敵の総帥の山名宗全を脅かして、老体の大入道をして大汗をかいて悪戦さ・・・ 幸田露伴 「雪たたき」
・・・さては国に大乱でも起ったか、公の叛逆人でも出来たかと思うて、三門をあけさせた。それになんじゃ。御身が家の下人の詮議か。当山は勅願の寺院で、三門には勅額をかけ、七重の塔には宸翰金字の経文が蔵めてある。ここで狼藉を働かれると、国守は検校の責めを・・・ 森鴎外 「山椒大夫」
出典:青空文庫