・・・ 拵える、見て貰う、と云う心持が抜け切らないと、昔からの出来るだけ見よく仕て見て貰うと云う女性特有な関心と affectation が動き出して来るのではないだろうか。 大掴みな反省ではあろうが、ここまで考えて来ると、自分は、本当に・・・ 宮本百合子 「概念と心其もの」
・・・それらについて云わば種本ともしていたのだが、このごろは、そういう便宜が次第に失われて来て、大掴みに云えば誰も彼もが大体に同じようなものを読むしかなくなっている。これまでは非常に個人的な系統と統一とをもって形づくられていた一人の作家・評論家の・・・ 宮本百合子 「今日の作家と読者」
・・・ さて大掴みに注目されるこれらの三つの現象は、本年度にどう展開されてゆくでしょうか。 これまでは文学の問題は文学の枠の中からだけとやかくいわれました。しかしこの段階は誰の目にもはっきり過去のものとしてうつっていると思います。なぜなら・・・ 宮本百合子 「一九四七・八年の文壇」
・・・その様々であるという現実が却って逆に反射して、ごく大掴みに国民文学というような表現が現われたり、その国民文学はロマンティックなものであるだろうというようなつきつめてみれば主観的な表現があったりするのでもあると思う。 私たちの足跡は、ほか・・・ 宮本百合子 「日本の河童」
出典:青空文庫