・・・ 三 じゅりあの・吉助は、遂に天下の大法通り、磔刑に処せられる事になった。 その日彼は町中を引き廻された上、さんと・もんたにの下の刑場で、無残にも磔に懸けられた。 磔柱は周囲の竹矢来の上に、一際高く十字・・・ 芥川竜之介 「じゅりあの・吉助」
・・・ しかるにその翌月、十一月十一日には果してまたもや大法難にあって日蓮は危うく一命を失うところであった。 天津ノ城主工藤吉隆の招請に応じて、おもむく途中を、地頭東条景信が多年の宿怨をはらそうと、自ら衆をひきいて、安房の小松原にむかえ撃・・・ 倉田百三 「学生と先哲」
・・・イイカネ、ソコデ今日僕が発明したのは「ねじねじは宇宙の大法なり」という真理サ。妙なものだよ、マア聞玉え。即ちスパイラルシステムというのサ、螺線サ螺線サ、天地は螺線的なのサ、古今の愚人どもがこの螺線法を知らないから困るのサ。まず手近に例を取て・・・ 幸田露伴 「ねじくり博士」
・・・これを知らないで天地の大法に支配せられて……などと云ってすましているのは、自分で張子の虎を造ってその前で慄えているようなものであります。いわゆる因果法と云うものはただ今までがこうであったと云う事を一目に見せるための索引に過ぎんので、便利では・・・ 夏目漱石 「文芸の哲学的基礎」
出典:青空文庫