出典:青空文庫
・・・またあなた方がいかに大言壮語なさり、私達があぶくをどんなに出してしゃべっても、お互いに結婚している人間ならば無能力であるということはいざというとたんになれば同じなのです。それをかえるために私達が集まってこういうようにお互いに話をいたしますけ・・・ 宮本百合子 「幸福の建設」
・・・保守的 退嬰的 非進歩的 非理知的 偏狭固陋であればある程、それだけ正しいのである。大言壮語家! p.281○理性よ、下れ! ロシアは矛盾なく 公言される信条である。「人はロシアを理性をもってではなく、信仰をもって理解しなければならぬ」・・・ 宮本百合子 「ツワイク「三人の巨匠」」
・・・そしてそのような日本文学の創造される現実の過程は、寧ろ極めて大言壮語的ならざる作家の孜々たる日々夜々の生活者としての成長に期さなければならないということは、実に深い意味を含んでいると思う。作家が現実にひるまない生き手でなければならないという・・・ 宮本百合子 「遠い願い」
・・・なよりよい生活への希望、その達成のために努力する意志と結合させなかったならば、作家としてゴーリキイは単なる一箇のロマンティストであり、或いは色彩豊富ではあるが、われわれを教える何ものをも持たない一人の大言壮語する饒舌な作家として、やがて忘れ・・・ 宮本百合子 「私の会ったゴーリキイ」
・・・新聞雑誌は初は予を強要して語らしめたが、後にはそう大言壮語せられては困るとか云って、予の饒舌るに辟易した。昔者道士があって、咒を称え鬼を役して灑掃せしめたそうだ。その弟子が窃み聴いてその咒を記えて、道士の留守を伺うて鬼を喚んだ。鬼は現われて・・・ 森鴎外 「鴎外漁史とは誰ぞ」