・・・御糺明の喇叭さえ響き渡れば、「おん主、大いなる御威光、大いなる御威勢を以て天下り給い、土埃になりたる人々の色身を、もとの霊魂に併せてよみ返し給い、善人は天上の快楽を受け、また悪人は天狗と共に、地獄に堕ち」る事を信じている。殊に「御言葉の御聖・・・ 芥川竜之介 「おぎん」
・・・重大さはそのことにあったにもかかわらず、日本では天下りに共和党デューイ個人の当選確実があんなにも注入され宣伝された。このことも日本のわたしたちにとっては忘れられない。 一九四六年の二月ごろであったろうか。婦人民主クラブが第一回の創立・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・ラジオはその時の政府によって官僚統制され、また天降りの独裁放送を行うことを思えば、政府の放送事業法案に対する反対はきわめて強い現実的な根拠をもっている。 一九四六年に組織された現在の放送委員会は日本のラジオの民主化にたいして負わされた責・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
これまでの日本はいつも天下りの戦争にならされていました。天皇制の封建的な、絶対的な教育の下で、人民は戦争を「思惑の加った災難」として、無批判に服従してきました。 そして今日の破局に到りました。日本に戦争反対の心がなかっ・・・ 宮本百合子 「戦争と婦人作家」
・・・これは、天降り風な大衆のための文学創作に抗して、自身のこの社会での生れ、在り場所、生きかたから、書かれるものはおのずから誇高き庶民の文化であることが標榜されている。武田麟太郎氏がそのトップに立っているのである。 然しながら、ここで云われ・・・ 宮本百合子 「文学の大衆化論について」
出典:青空文庫