・・・薙刀もって奮戦するなんて、いやなこった。」「似合うよ。」「だめ。あたし、ちびだから、薙刀に負けちゃう。」 ふふ、と数枝は笑った。数枝の気嫌が直ったらしいので、さちよは嬉しく、「ねえ。あたしの言うこと、もすこしだまって聞いてい・・・ 太宰治 「火の鳥」
・・・可憐なる彼ら――可憐は取消そう二人とも可憐という柄ではない――エー不憫なる――憫然なる彼らはあくまでも困難と奮戦しようという決心でついに下宿を開業した。その開業したての煙の出ているところへ我輩は飛び込んだのである。飛び込んでからだんだん事情・・・ 夏目漱石 「倫敦消息」
・・・この人は幕府の末年に勝氏と意見を異にし、飽くまでも徳川の政府を維持せんとして力を尽し、政府の軍艦数艘を率いて箱館に脱走し、西軍に抗して奮戦したれども、ついに窮して降参したる者なり。この時に当り徳川政府は伏見の一敗復た戦うの意なく、ひたすら哀・・・ 福沢諭吉 「瘠我慢の説」
・・・「日本刀焼ゴテで奮戦・文芸戦線大異状。」前田河広一郎・葉山嘉樹・岩藤雪夫及黒島伝治の写真。 東京へかえったら二三の知人が、 ――どうですね、日本のプロ文士の剣劇レビューは?と云って笑った。 ――ソヴェトのプロ文士の喧嘩もあん・・・ 宮本百合子 「ニッポン三週間」
・・・文部省は、こそこそ教科書の小細工をするより世論はこれだけ真剣に発言しているのだからそれをバックとして、予算をとるために堂々奮戦し、世界の常識にも訴うべきである。文部省がおてもりのユネスコ準備会をこしらえようとしたからには、世界ユネスコの注意・・・ 宮本百合子 「平和をわれらに」
出典:青空文庫