・・・ 婦人部の機関紙『労働婦人と農婦』に掲載される読物の多くは、女流作家によって書かれたものだ。『若い親衛軍』『赤い処女地』などという雑誌に、或る工場内の文学研究会から推薦された労働者の小さい作品が発表されることもある。 いきなりそ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・村岡花子が日本の女流作家だそうです。 十一月八日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より〕 今日は嬉しいことがあります。オリザビトンが五つ程みつかりました。今そちらにいくつかあるでしょうから、これですくなくとも一月までは持ちます・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・ 初め、女流百人百題という題を見、ジャアナリズムを感じただけであった。順ぐり読むうちに、そうばかりも云えぬ気がして来た。兎に角ここには、これだけ現代女性の云うこと、思うこと、欲すること――あらゆる角度に於て内外の生活に連関した発露がある・・・ 宮本百合子 「是は現実的な感想」
・・・当時日進月歩であった新日本の足どりにおくれて手足まといとならない範囲に開化して、しかも過去の自由民権時代の女流のように男女平等論などを論ぜず内助の功をあげることを終生のよろこびとする、そのような女を、明治の日本は理想の娘、妻、母として描き出・・・ 宮本百合子 「女性の歴史の七十四年」
・・・ますます息づまって来る当時の戦争万能の社会の空気と、そのなかでからくも情緒的な何かを保とうとしているいわゆる女流の文学。そのころはプロレタリア文学の運動も挫かれていた。壺井栄さんは、『戦旗』の発行や発送のためには大きい見えない力として扶けた・・・ 宮本百合子 「壺井栄作品集『暦』解説」
・・・この間新聞である女流の日本画家と洋画の女流画家とが短い意見を発表しているのをみた。日本画の女流画家は、洋画一般が日本の生活とどんな必然性をもっているか、日本人であるということをどこまで分っているのだろうという疑問を出していた。これは面白い問・・・ 宮本百合子 「ディフォーメイションへの疑問」
・・・ シャロッテ・ブロンテというイギリスの女流作家の小説に「ジェーン・エーア」という作品がある。若いジェーンが生活のために職業を求めて新聞に広告をのせる。すると、何通かそれに対する手紙が来る。ジェーンは一つ一つ開いてみて、最後の一通の求人に・・・ 宮本百合子 「働く婦人の新しい年」
・・・嘗て、或る知名な女流歌人が右のような行為に出た時、都下の或る大新聞は、文化の最高指導者たるべき紙面を、全部その報告、ドキドキさせるようなロマンチック・センセーションで埋めまでした。寧ろ、悲惨な心持がせずにはいない。それほど、皆が心を動顛させ・・・ 宮本百合子 「深く静に各自の路を見出せ」
・・・これは極めて興味ある問題です。女流作家「不振」を叫ぶ批評家達はプロレタリアートの未来を信じません。成程、現在のプロレタリア婦人の文化水準は低い、今直ぐにはいい作品は書けないでしょう。然し現在各地の農村工場から送られて来る通信員の報告又は投書・・・ 宮本百合子 「婦人作家の「不振」とその社会的原因」
・・・ 大体思索し得る女流の間に道徳家が多いのは何故であろうか。これこそブルジョア文化の内的矛盾のバクロ以外の何ものでもない。 ブルジョア文化は、その階級的特性によって、文学哲学の如く高度に発展した形態にあってはごく僅かのブルジョア・イン・・・ 宮本百合子 「婦人作家は何故道徳家か? そして何故男の美が描けぬか?」
出典:青空文庫